SE(システムエンジニア)、インフラエンジニア、Web系・アプリ系エンジニア...これらITエンジニアの給料は本当に安いのか?平均年収が低いのでは?
この記事では上記のような疑問に、各年収を徹底調査した上で現役の実体験も活かして答えをまとめています。
また、結局のところ、下記を気にしているのではないでしょうか?
- このまま今のITエンジニア職を続けて良いのか?
- 本当にITエンジニアになって給料が上がるか不安...
- 現役エンジニアの給料・年収の上げ方は?
- 業界や職種は変えるべき?転職して他の会社に行けば解決なのか?
この辺りの疑問についても、現役のエンジニアと、メディアメンバーのキャリアアドバイザーや人事の考え方を基に紐解いていきます。
WRITER
Tsukasa|現役エンジニア
Frontend Engineer / Web Creator / SEO Writer / Web Media Manager
現役のフロントエンドエンジニアで、「在庫管理アプリのフロントエンドリード」「プロ野球球団公式サイトの運用保守リーダー」「ECサイト実装」「Webサイト・LP実装」などの実績を積みながら、現在もWebクリエイティブ会社で活躍中。未経験からフロントエンドエンジニアに転職成功した実体験も活かして、当メディアを運営させていただいております。
AID-TRUTHは、バックエンドエンジニアやディレクター、人事で活躍する人など、現役で活躍する人たちが実体験を活かしてコンテンツ発信をしています。
INDEX
【結論】ITエンジニアの給料・年収が「比較的に低い」とは言えない
結論、他産業・他職種と比較してもITエンジニアの給料・年収は決して低いとは言えません。その理由は2つあり、年収のデータを基に考えると明白です。
理由①:国内の他産業と比べた平均年収の高さ
産業 | 平均年収(万円) |
---|---|
電気・ガス・熱供給・水道業 | 761 |
金融業・保険業 | 590 |
情報通信業 | 577 |
製造業 | 501 |
建設業 | 488 |
学術研究,専門・技術サービス業、教育,学習支援業 | 420 |
不動産業・物品賃貸業 | 415 |
運輸業・郵便業 | 396 |
複合サービス事業 | 354 |
医療・福祉 | 341 |
卸売業・小売業 | 322 |
サービス業 | 317 |
農林水産・鉱業 | 287 |
宿泊業・飲食サービス業 | 160 |
国税庁の「令和5年民間給与実態統計調査結果」によると、ITエンジニアが比較的多く属する「情報通信産業」は、他産業と比べて3位に位置しており、産業としては低いとは言えません。
とは言え、医療業界やサービス業など、「情報通信産業」以外でITエンジニアをしている人も多いはず。ただ、そもそも他職種と比較してもITエンジニアは十分に高い平均年収となっています。
理由②:他職種と比べてもITエンジニアの年収は平均以上
職種 | 平均年収(万円) |
---|---|
専門職(コンサルティングファーム/ 専門事務所/監査法人) | 598 |
企画/管理系 | 543 |
営業系 | 456 |
技術系(電気/電子/機械) | 455 |
技術系(IT/通信) | 452 |
金融系専門職 | 452 |
技術系(建築/土木) | 432 |
技術系(メディカル/化学/食品) | 395 |
クリエイティブ系 | 383 |
事務/アシスタント系 | 343 |
販売/サービス系 | 334 |
SE(システムエンジニア)やインフラエンジニア、Web系・アプリ系エンジニアが属する「技術系(IT/通信)」は平均よりも高い年収となっています。このようにITエンジニアは平均より年収が高い職種なので、「給料・年収が低い職種」とは言い切れません。
ITエンジニアの給料・年収が低いと思う本当の理由
平均年収のデータから「低いとは言えない」とか言われても、実際のところ自分の給料・年収が安いと感じている人は多いはず。特に、SE(システムエンジニア)、テスターや運用/監視/保守、Web系エンジニア、この辺りの職種の人は、平均より給料が安いのでは...?と感じるかもしれません。
ここからは、給料・年収が低い!安い!と思う真相をまとめていきます。
- 同じITエンジニア職の中でも大きな年収差があるから
- 市場価値の高いプログラミング言語との年収差が激しいから
- 年功序列を基準に評価されるから
- 多重下請け構造の問題|下請け企業の利益は少なくなるから
- 残業時間が多いから
1/5|同じITエンジニア職の中でも大きな年収差があるから
「技術系(IT/通信)」の平均年収が他職種と比べて高いことは、既に説明しましたが、下記のように各エンジニア毎の平均年収を見てみると、最小と最大の差が約150万円前後と大きくなっています。
職種 | 平均年収(万円) |
---|---|
研究開発 | 562 |
データサイエンティスト | 532 |
セキュリティエンジニア (脆弱性診断/ネットワークセキュリティ) | 487 |
システム開発/運用 | 472 |
パッケージ導入/システム導入 | 469 |
スマホアプリ/ネイティブアプリ系エンジニア | 461 |
サーバーエンジニア | 454 |
ネットワークエンジニア | 446 |
制御系ソフトウェア開発 | 430 |
Webサービスエンジニア | 424 |
SE/プログラマ | 422 |
テクニカルサポート | 415 |
データベースエンジニア | 412 |
運用/監視/保守 | 373 |
デバッグ/テスター | 372 |
ヘルプデスク | 345 |
SE(システムエンジニア)/プログラマは「422万円」と平均より給料が安いですし、テスターの「372万円」、運用保守の「373万円」、Web系エンジニアの「424万円」、この辺りの職種も高い年収帯のエンジニア職との差が大きく、「相対的に給料が低い」と感じてしまいやすいんです。
2/5|市場価値の高いプログラミング言語との年収差が激しいから
下記はプログラミング言語別の平均年収のデータとなるのですが、これまた平均年収の最小と最大を比べると150万円以上の差があります。
言語 | 平均年収(万円) |
---|---|
Go | 710.5 |
TypeScript | 690.4 |
Scala | 667.9 |
Kotlin | 664.9 |
Ruby | 663.5 |
Python | 652.9 |
Swift | 641.6 |
Sass | 636.0 |
JavaScript | 630.6 |
Perl | 619.1 |
PHP | 617.4 |
Java | 605.5 |
Objective-C | 601.7 |
C++ | 599.2 |
C# | 589.1 |
C | 579.1 |
Visual Basic(VB.NET) | 537.6 |
平均年収の高い言語を扱う周囲のエンジニアと比べて、自分の扱う言語の年収との差が大きくなるほど「ITエンジニアの年収が低い」と感じてしまう点が、給料が安いと言われる理由の一つと言えます。
3/5|年功序列を基準に評価されるから
未だ多くの企業が年功序列を基準とした評価をしているのも事実で、業界や企業によっては、スキルよりも勤続年数や職種の経験年数が評価軸の多くを占めていることも多いです。
スキルの豊富な優秀なエンジニアであっても、年功序列の評価基準があると、勤続年数が少ない間はスキルに見合った給料を得られない場合もあります。
とは言え、ITエンジニアなどの専門職は比較的成果主義だと実感があります。私は過去に、教育業界のコンサル会社に入社した経験がありますが、やっぱり専門職と比べると年功序列の意識が強く、ITエンジニアはマシな方では?とも考えています。
4/5|多重下請け構造の問題|下請け企業の利益は少なくなるから
多重下請け構造とは、クライアントから元請け企業に依頼された案件が、2次請け...3次請け...4次請けのように何層にもわたって再委託されるピラミッド型の構造のことです。
この多重下請け構造では、開発・制作の元請けの企業と比べて、下請けになればなるほど利益が下がっていき、結果的に下請け企業で働く人の年収も必然的に低くなっていきます。
全体で見ると平均年収が低いとは言えないITエンジニアであれど、企業の案件の請け方によっては年収が低い人も多くいます。
5/5|残業時間が多いから
2019年にGeeklyが実施した調査「IT業界における「残業」に関するアンケート」によると、ITエンジニアの平均残業時間は23.2時間だという結果が出ており、厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和3年9月分結果確報」によると労働者全体の平均残業時間は9.4時間なので、ITエンジニアの残業時間は平均の2.5倍ほど多いことが分かります。
見込み残業で給料が決められている場合は、結局トータルの勤務時間が多ければ、「給料・年収が低い」と感じて当然です。
平均は23.2時間と出ていますが、現役の私としては、ぶっちゃけ実際はもっと多い人もいるのでは...と感じています。今まで30時間 〜 40時間残業している先輩も沢山見てきていますし、残業のせいでスキルアップがしづらく、結果給料が上がらないという事態にもなり得ます。
【現役解説】ITエンジニアの給料・年収の上げ方と転職の判断基準
ここからはITエンジニアの給料・年収の上げる方法と、転職をするならどのような判断を取るべきか、現役の実体験も交えて解説していきます。
1/5|エンジニア市場で需要のある資格を取得
資格取得も年収アップに有効です。例えば、プロジェクトマネジメントの資格や、特定の技術分野の認定資格を持つことで、社内での評価が高まり、昇給や昇進のチャンスが増えます。特に、日本で評価の高い資格として、以下の資格などが挙げられます。
- 応用情報技術者試験(AP)
- ITストラテジスト試験(ST)
- システムアーキテクト試験(SA)
これらの資格は技術力だけでなく、戦略的思考やマネジメント能力も証明できます。それに、資格学習をしてスキルアップすると、現職の業務効率や上司からの信頼度も上がります。ご紹介した3つの資格のようなエンジニア市場で需要のある資格は積極的に学習していきましょう。
2/5|需要の高いプログラミング言語・技術を習得
既に説明したようにプログラミング言語によって平均年収は大きく異なるので、市場価値の高い案件にアサインできるように、自分の得意スキルを増やすのが一つの手です。
例えば、近年どんな案件でも活用の余地が見られる Python(平均652.9万円)を習得して案件の幅を広げたり、TypeScript(平均690.4万円)を習得して大規模なシステム開発にトライしてみるのも良いでしょう。それらを実績にして転職して、給料を上げるのも良いですよ。
また、Goを扱う案件はベンチャー企業に多い傾向にあるので、Goを習得して狙い撃ちで転職を検討するなど、工夫を凝らして学習を進めていきましょう。
もちろん、時代を経て需要の高いプログラミング言語は変化し続けるので、最新技術を常にキャッチアップして自分のスキルセットをアップデートすることが重要。
3/5|上流工程・管理職へ転職する
下記のように、SE(システムエンジニア)等と比べると、上流工程・管理職の職種は平均年収が高い傾向にあります。
上流工程・管理職
- プロジェクトマネジャー:691万円
- ITコンサルタント:602万円
- IT戦略/システム企画:600万円
- セキュリティコンサルタント/アナリスト:597万円
SE(システムエンジニア)等一般的なエンジニア職
- システム開発/運用:472万円
- スマホアプリ/ネイティブアプリ系エンジニア:461万円
- ネットワークエンジニア:446万円
- Webサービスエンジニア:424万円
- SE(システムエンジニア)/プログラマ:422万円
サポート系のエンジニア
- 運用/監視/保守:373万円
- デバッグ/テスター:372万円
- ヘルプデスク:345万円
参照:平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】|Doda
例えば、SE(システムエンジニア)であれば、要件定義や設計・企画から行う職に転職したり、プロジェクトマネージャーへ転職するのが、一般的なキャリアパスです。
特に30代以降はマネジメントスキルを求められることも多いので、現在のご年齢や今後のキャリアプランと相談して、上流工程や管理職へ転職するのも、一般的な年収の上げ方です。
4/5|フリーランスになる
フリーランスとして働くことも一つの方法です。平均年収について既に記載した通り、500万以上800万円未満が29.10%と最も多く、正社員の平均年収「350万円〜550万」と比べると年収アップを見込めます。
フリーランスは自分で仕事を選び、クライアントと直接契約するため、中間マージンを省け、高単価の案件を受注しやすいです。例えば、大手企業との直接契約や、海外のクライアントとの取引は、非常に高い報酬を得ることができます。
でも、自己管理能力や営業力が必要となるため注意が必要です。自由度が高い分、負担やリスクが多く、契約の交渉力やネットワークの広さも給料に影響します。しっかりとした準備と戦略を持ってフリーランスとして活動することで、高収入を目指すことができます。
5/5|平均年収の高い業態や企業へ転職する
結局この方法が、あまり労力がかからず転職方法として実現性の高い年収の上げ方です。
既に説明したように、元請け企業や自社開発企業と比べると、下請け企業の利益は少ない傾向にあり、従業員の給料も安くなるパターンが多いです。例えば、下請け受託開発企業から自社開発へ転職したり、SESからSIerに転職するのが一般的な例。参考までに下記のような自社でサービスを持つ企業の平均年収も比較的高いですよ。
- LINE株式会社:862万円 ※5
- PayPay株式会社:710万円 ※6
- 株式会社ビズリーチ:597万円 ※5
扱えるプログラミング言語やスキルはそのままで、今の自分の実績を活かして、平均年収や待遇の良い企業へ転職できる方法なので、筆者としても一番おすすめする年収の上げ方。
問題はどの業態のどの企業の平均年収が高いか単独では判断しづらい点です。転職は情報戦、利益が多い企業や社員への還元率の良い企業へ転職を検討する際は、転職エージェントを活用することをお勧めします。
エンジニア特化型キャリアアドバイザーに頼って「適切な給料の上げ方」と「妥当な転職術」を教わろう
キャリアアドバイザーに転職活動をサポートしてもらえる「転職エージェント」ですが、筆者の私もこれまで何度も利用させてもらっていて、例えば下記のような相談が無料でできます。
- 今の自分の給料って正直低いものなんですか?
- このまま運用保守ばかりしていてもキャリアアップできないですよね...?
- 上流工程の職種にキャリアチェンジする時に長期的なリスクやデメリットはありますか?
- 別の言語を扱った別のITエンジニアに転職すると、結局初めは給料下がったりしますか?
- 今の自分の年代でキャリアチェンジするのって正直どう思いますか...?
- できるだけ元請けをしている会社が良いんですが、おすすめの求人はありますか?
- 自社開発や受託開発など会社形態毎のメリット・デメリットが知りたい
聞きたいことがあれば、マジでなんでも相談できます。私なんか初めての利用時に、自社開発・受託開発・SES等の会社形態の詳細な説明もしてくれました。
ひとまずこの記事から、自分と世間のITエンジニアの年収に関する情報が得られたと思うので、それを基に後はプロのキャリアアドバイザーに現実的な策を練ってもらうのがベストプラクティスです。
下記のどの状況の人でもメリットがあるので、まだ使っていない人は無料相談から進めておきましょう。
シチュエーション | メリット |
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既に採用面接を控えている人 | 模擬面接や面接企業の分析をしてくれる |
応募先企業の固有の 質問を気にしている人 | 応募先企業の頻出質問や気にしていることなど、企業ごとの対策をしてくれる |
応募企業がまだ少ない人 | 応募したい企業をヒアリングしてくれ、ベストな求人をピックアップしてくれる |
転職に自信がない人 | 転職理由や希望条件をヒアリングの上、ベストな応募企業や採用面接のコツをレクチャーしてくれる |
エンジニアを目指すのであれば、IT・Web業界のエンジニア転職に強いエージェントがおすすめ。筆者や同僚も実際に活用していたエージェントをまとめておきます。