ITエンジニアって思ったより給料安すぎ...と思っている人は多く、そう思い込んでしまう原因は、他のエンジニアと比較した時の年収差など様々な理由があります。
この記事では、SE(システムエンジニア)、インフラエンジニア、Web系・アプリ系エンジニア...これらITエンジニアの年収事情を、平均年収データや現役のリアルな意見を元に紐解いていきます。
- 年収上げるためには結局どうしたら...
- どんな転職の仕方をすればいいの?
- フリーランスになれば年収上がる?
- 海外と比べて日本のITエンジニアってどうなの?
また、上記のような疑問についても、現役のエンジニアである筆者が、実際に働いてみての考え方を基にお話ししていきます。
WRITER
Takagi|Web Creator / バックエンドエンジニア
Web Creator / Backend Engineer / Freelancer
現役のWebクリエイター/バックエンドエンジニア。これまで正社員のバックエンドエンジニアとしてキャリアを積んできて、そこからフリーランスのWeb Creatorとして活動を始める。現在は、HP制作・LP制作やライティングなどのWeb制作からバックエンド開発まで幅広く対応。
AID-TRUTHは、バックエンドエンジニアやディレクター、人事で活躍する人など、現役で活躍する人たちが実体験を活かしてコンテンツ発信をしています。
INDEX
ITエンジニアの給料は安すぎるのか?まずは年収データで事実を知るべき
ITエンジニアの給料が安すぎるとよく言われますが、結論、下記の実態があるから「自分の給料が低いと思い込みやすい」と言えます。
- エンジニアの中でも上流or下流の工程によって年収差が大きい
- 元請や自社開発企業と比べると下請けや受託の年収が安い
結局は、他の人と比べて自分の年収が安すぎなように思える...というケースが多いです。それでは、その実態について詳しく説明していきます。
ITエンジニア全体と全職種との平均年収の差
年数 | ITエンジニア | 全職種合計 |
---|---|---|
2023年 | 452万円 | 414万円 |
2022年 | 442万円 | 403万円 |
2021年 | 438万円 | 403万円 |
2020年 | 452万円 | 409万円 |
2019年 | 457万円 | 408万円 |
前提として、ITエンジニアは高い年収帯の職種と言えます。Dodaエージェントサービスに登録した20歳から65歳までの人に調査されたデータによると、ITエンジニアの平均年収は452万円で全体平均の414万円よりも40万円高く、5年間の平均年収の推移を見ても大きな変動はないことから、給料が安すぎとは言えません。
【職種別】エンジニアの平均年収
次に、ITエンジニアの職種別年収です。職種や工程によって年収に違いが出ており、「上流工程」「SE(システムエンジニア)等の一般的なエンジニア」「保守・テスターなどのサポート系」この3つに分けた平均年収が下記の通りです。
上流工程・管理職
- プロジェクトマネジャー:691万円
- ITコンサルタント:602万円
- IT戦略/システム企画:600万円
- セキュリティコンサルタント/アナリスト:597万円
一般的なエンジニア職
- システム開発/運用:472万円
- スマホアプリ/ネイティブアプリ系エンジニア:461万円
- ネットワークエンジニア:446万円
- Webサービスエンジニア:424万円
- SE(システムエンジニア)/プログラマ:422万円
サポート系のエンジニア
- 運用/監視/保守:373万円
- デバッグ/テスター:372万円
- ヘルプデスク:345万円
参照:平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】|Doda
それぞれの平均年収を見るに、やはり上流工程やコンサル系の年収が高く、一方でSE(システムエンジニア)/プログラマや保守・テスター系の平均年収は安い傾向にあります。安すぎと思われる一つの原因に、他職種との差が大きい点もあることが分かります。
【業態別】エンジニアの年収事情
企業の業務形態の年収事情ですが、元請けに近いほど給料や待遇が良く、下請けになるほど企業自体の利益が少なく結果的に従業員の年収も低くなる傾向にあります。
上記の数字はあくまで案件発注の金額の減り方を示すイメージですが、元請け企業で働く人と比べると、下請け企業の人の給料は安すぎ...と感じてしまうこともあります。また、下記の企業のように、自社でサービスを持つ企業などは比較的年収も高い傾向にあります。
- LINE株式会社:862万円 ※5
- PayPay株式会社:710万円 ※6
- 株式会社ビズリーチ:597万円 ※5
ITエンジニアの給料は安すぎ?でよくある3つの疑問に現役が応えます
ここからは、筆者Takagiと当メディアの運営と現役でエンジニアをしている冨岡さんとで「エンジニア給料安すぎ問題でよくある疑問」について会話した内容をまとめていきます。
海外との比較や結論どうすれば年収を上げられるか、気になる人は是非みてみてください。
疑問①:海外と比べて日本のITエンジニアの給料は安すぎなのか?
まず前提として、IT先進国であるアメリカではエンジニアの平均年収は1000万円を超えていて、日本のエンジニアの給料と比較すると2倍近くの差があります。※1
なるほど...そんなに差が...。自分の周りのエンジニアも、日本は海外と比べると給料が安すぎ!と考えている人は多いです。でも、何故そんなに差が出るのでしょうか?
結論、アメリカはエンジニア職の敷居がとても高いからです。
例えば、アメリカではコンピューターサイエンスの学士がないと面接さえ受けられない企業もあるようで、そもそもエンジニアという仕事に就くハードルが高いんですね。
この話について、参考にして欲しい記事があります。厚切りジェイソンが「Why Japanese Engineer!? アメリカではもっとエレガントに開発してるよ!※3」と謳っているこの記事で、下記のようなことが書かれています。
【Why!?1】コードが書けるだけでエンジニアと名乗っていいの?
――厚切りジェイソンさんから見た日本と海外のエンジニアの大きな違いって何ですか?
はっきり違うのは入り口の部分。アメリカではコンピューターサイエンスの学士がないと面接を受けさせてもらうこともできません。それくらい、エンジニアは専門性が要求される職業なんです。
いやぁ...これは胸に刺さります...そういえば僕が初めて入社したベテランエンジニア兼CTOの社長が「暗記したコードを書くだけでエンジニアと言えると思いますか?」と社員に問いかけていた事があります。海外って日本と比べると敷居が全然違うんですね...。
それに、転職エージェントのユニゾンキャリアが調査した記事によると※3、日本は海外と比べて、エンジニアと他職種との年収差が少ないみたいで、相対的に「エンジニア = 給料が高い」と感じづらい事情もあります。
あ、なるほど!アメリカでは他職種より500万円以上の年収差があるけど、日本は他産業とあまり変わらないから「エンジニアって年収高くないのか...?」と感じてしまうんですね。
ですね。まとめると、「日本のITエンジニアの給料が安すぎ」というよりも「海外エンジニアの敷居が高い & 年収が明らかに高い」から、安すぎと思い込んでしまう。という訳です。実際に下記の記事で説明している通り、日本のITエンジニアは他職種と比べても、平均年収が高いですよ。
※1. IT人材に関する各国比較調査結果報告書|経済産業省
※2. 厚切りジェイソン「Why Japanese Engineer!? アメリカではもっとエレガントに開発してるよ!」|エンジニアtype
※3. エンジニアの年収・給料は安すぎ?それ、あなたの思い込みです!低くみられる理由を解説|就職・転職者職業ガイド|ユニゾンキャリア
疑問②:フリーランスになれば年収アップするのか?
Takagiさんは、現役のフリーランスですよね。結論、フリーランスになれば年収は上がると思いますか?
フリーランスになると、確かに収入が大きく変わる可能性があります。
参考までにフリーランスエンジニアの年収に関してRelanceが行った調査によると、「500万円〜800万円」と回答した人が29%と最も多い結果となり、正社員の平均年収「350万円〜550万」と比べると、額面だけで見ると年収アップは見込めます。
年収帯 | 割合 |
---|---|
200万円未満 | 6.58% |
200万以上300万円未満 | 13.94% |
300万以上500万円未満 | 28.02% |
500万以上800万円未満 | 29.10% |
800万以上10,00万円未満 | 12.56% |
1,000万以上1,200万円未満 | 5.51% |
1,200万円以上 | 4.29% |
とは言え、フリーランスって個人営業なので、その分負担も多いですよね?
そうですね...税金や、保険料を支払ったら結果正社員と変わらなかったということもあり得ます。営業やスキルアップなどを全て自分ですることになるので、その負担を考えると正社員で安定的に生活できる方が結果的に満足度が高いという人もいると思いますよ。
なるほど...額面が増える分、実稼働以外の営業等の工数が増えたり、リスクや負担も付いてくるんですね...。
疑問③:結局は転職が安牌?給料の上げ方や対策を教えてくれ
結局、転職が最も確実な方法なのでしょうか?給料を上げるためには具体的にはどうしたら良いのでしょう?
結論、下記が具体的な対策となります。
・エンジニア市場で需要のある資格を取得
・需要の高いプログラミング言語・技術を習得
・上流工程へ転職する
・フリーランスになる
・平均年収の高い業態や企業へ転職する
なるほど。でも人によって状況が違うからどの対策をしたら効果的か迷いそうですね...誰でも簡単にできる再現性の高い方法を見つけるには、どうしたら良いのでしょうか?
確かに人によりますもんね。
まず第一に、対策として下記の2パターンには分かれると思います。
①自己研鑽や対応言語の幅を広げてスキルアップ
②そもそも現職の企業の利益が少ないかもしれないから転職する
①は時間も労力もかかるけど、②のような外的要因で年収が低い場合は、上手に転職するだけで年収アップできるケースが多くあります。例えば、SESからSIerへ転職、受託開発企業から自社開発企業へ転職、のような形です。
現役からアドバイスしておくと、上記のような企業形態による年収差等の対策は、プロのキャリアアドバイザーに頼るべきです。下記のようなエンジニア特化型の転職エージェントを使えば、世間の年収事情をリアルに相談できるので活用するように心がけましょう。転職は情報戦でもあるので、単独での行動はリスキーですよ。
エンジニア特化型転職エージェントの活用方法や「適切な給料の上げ方」と「妥当な転職術」の教わり方は、こちらの見出しを参照ください。
【年収の上げ方】ITエンジニアの給料アップで今後すべき行動
ここからは、ITエンジニアの年収の上げ方を詳細に説明していきます。
1/5|エンジニア市場で需要のある資格を取得
資格取得も年収アップに有効です。例えば、プロジェクトマネジメントの資格や、特定の技術分野の認定資格を持つことで、社内での評価が高まり、昇給や昇進のチャンスが増えます。特に、日本で評価の高い資格として、以下の資格などが挙げられます。
- 応用情報技術者試験(AP)
- ITストラテジスト試験(ST)
- システムアーキテクト試験(SA)
これらの資格は技術力だけでなく、戦略的思考やマネジメント能力も証明できます。それに、資格学習をしてスキルアップすると、現職の業務効率や上司からの信頼度も上がります。ご紹介した3つの資格のようなエンジニア市場で需要のある資格は積極的に学習していきましょう。
2/5|需要の高いプログラミング言語・技術を習得
転職市場で需要の多いプログラミング言語や平均年収の高いプログラミング言語を習得することも、再現性の高い年収の上げ方です。下記の通り、扱うプログラミング言語によって平均年収に大きな差があることを把握しましょう。
言語 | 平均年収(万円) |
---|---|
Go | 710.5 |
TypeScript | 690.4 |
Scala | 667.9 |
Kotlin | 664.9 |
Ruby | 663.5 |
Python | 652.9 |
Swift | 641.6 |
Sass | 636.0 |
JavaScript | 630.6 |
Perl | 619.1 |
PHP | 617.4 |
Java | 605.5 |
Objective-C | 601.7 |
C++ | 599.2 |
C# | 589.1 |
C | 579.1 |
Visual Basic(VB.NET) | 537.6 |
もちろん、時代を経て需要の高いプログラミング言語は変化し続けるので、最新技術を常にキャッチアップして自分のスキルセットをアップデートすることが重要。
3/5|上流工程・管理職へ転職する
既にご説明した下記のような上流工程・管理職の職種は平均年収が高いです。
- プロジェクトマネージャー:691万円
- ITコンサルタント:602万円
- IT戦略/システム企画:600万円
- セキュリティコンサルタント/アナリスト:597万円
例えば、SE(システムエンジニア)であれば、要件定義や設計・企画から行う職に転職したり、プロジェクトマネージャーへ転職するのが、一般的なキャリアパスです。
特に30代以降はマネジメントスキルを求められることも多いので、現在のご年齢や今後のキャリアプランと相談して、上流工程や管理職へ転職するのも、一般的な年収の上げ方です。
4/5|フリーランスになる
フリーランスとして働くことも一つの方法です。平均年収について既に記載した通り、500万以上800万円未満が29.10%と最も多く、正社員の平均年収「350万円〜550万」と比べると年収アップを見込めます。
フリーランスは自分で仕事を選び、クライアントと直接契約するため、中間マージンを省け、高単価の案件を受注しやすいです。例えば、大手企業との直接契約や、海外のクライアントとの取引は、非常に高い報酬を得ることができます。
でも、自己管理能力や営業力が必要となるため注意が必要です。自由度が高い分、負担やリスクが多く、契約の交渉力やネットワークの広さも給料に影響します。しっかりとした準備と戦略を持ってフリーランスとして活動することで、高収入を目指すことができます。
5/5|平均年収の高い業態や企業へ転職する
結局この方法が、あまり労力がかからず転職方法として実現性の高い年収の上げ方です。
既に説明したように、元請け企業や自社開発企業と比べると、下請け企業の利益は少ない傾向にあり、従業員の給料も安くなるパターンが多いです。例えば、下請け受託開発企業から自社開発へ転職したり、SESからSIerに転職するのが一般的な例です。
扱えるプログラミング言語やスキルはそのままで、今の自分の実績を活かして、平均年収や待遇の良い企業へ転職できる方法なので、筆者としても一番おすすめする年収の上げ方。
問題はどの業態のどの企業の平均年収が高いか単独では判断しづらい点です。転職は情報戦、利益が多い企業や社員への還元率の良い企業へ転職を検討する際は、転職エージェントを活用することをお勧めします。
エンジニア特化型キャリアアドバイザーに頼って「適切な給料の上げ方」と「妥当な転職術」を教わろう
キャリアアドバイザーに転職活動をサポートしてもらえる「転職エージェント」ですが、筆者の私もこれまで何度も利用させてもらっていて、例えば下記のような相談が無料でできます。
- 今の自分の給料って正直低いものなんですか?
- このまま運用保守ばかりしていてもキャリアアップできないですよね...?
- 上流工程の職種にキャリアチェンジする時に長期的なリスクやデメリットはありますか?
- 別の言語を扱った別のITエンジニアに転職すると、結局初めは給料下がったりしますか?
- 今の自分の年代でキャリアチェンジするのって正直どう思いますか...?
- できるだけ元請けをしている会社が良いんですが、おすすめの求人はありますか?
- 自社開発や受託開発など会社形態毎のメリット・デメリットが知りたい
聞きたいことがあれば、マジでなんでも相談できます。私なんか初めての利用時に、自社開発・受託開発・SES等の会社形態の詳細な説明もしてくれました。
ひとまずこの記事から、自分と世間のITエンジニアの年収に関する情報が得られたと思うので、それを基に後はプロのキャリアアドバイザーに現実的な策を練ってもらうのがベストプラクティスです。
下記のどの状況の人でもメリットがあるので、まだ使っていない人は無料相談から進めておきましょう。
シチュエーション | メリット |
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転職に自信がない人 | 転職理由や希望条件をヒアリングの上、ベストな応募企業や採用面接のコツをレクチャーしてくれる |
エンジニアを目指すのであれば、IT・Web業界のエンジニア転職に強いエージェントがおすすめ。筆者や同僚も実際に活用していたエージェントをまとめておきます。