エンジニア未経験からの転職、経験者の転職、新卒の面接、いずれの場合でも採用面接で「どんなエンジニアになりたいか?」という質問をされる場面は多くあります。
この記事では、今も現役で働いているエンジニアと現役で人事をされている人の2人で、「どんなエンジニアになりたいか?」の質問意図、回答例、NG例と回答ポイント、をそれぞれ解説していきます。
WRITER
Tsukasa|現役エンジニア
Frontend Engineer / Web Creator / SEO Writer / Web Media Manager
現役のフロントエンドエンジニアで、「在庫管理アプリのフロントエンドリード」「プロ野球球団公式サイトの運用保守リーダー」「ECサイト実装」「Webサイト・LP実装」などの実績を積みながら、現在もWebクリエイティブ会社で活躍中。未経験からフロントエンドエンジニアに転職成功した実体験も活かして、当メディアを運営させていただいております。
AID-TRUTHは、バックエンドエンジニアやディレクター、人事で活躍する人など、現役で活躍する人たちが実体験を活かしてコンテンツ発信をしています。
この記事のアドバイザーをさせていただく現役の人事として働いている「にこはら」です!
約20年に渡って培ってきた採用管理や組織コンサル、人事総務・労務管理などの多様な経験を元に、今もキャリアアップを続けています。これまでの会社メンバーと共に歩んできた人事制度の構築や新卒採用の経験、自分自身が転職・キャリアアップしてきた経験などを活かして、この記事のサポートをさせてもらいます!
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INDEX
未経験者必見!「どんなエンジニアになりたいか」は「分析 x 熱意 x 個性」でクリアしよう
決して回答例をコピーしたり分析や準備なしで答えてはいけません。「どんなエンジニアになりたいか」の攻略の鍵は下記にあります。
- 企業のことをよく知ること
- 採用担当者の質問意図を汲み取る
- エンジニア職になりたい想いや熱意を伝える
- 自分にしかない個性や強みを分析する
どんな面接対策でも同様ですが「なぜその質問をするのだろう」と意図を汲み取ることが大切。
採用側としても「入社後のキャリアを描けているか」「チームの一員として会社にマッチしているか」「熱意や入社に対して本気か」と様々な意図があって「どんなエンジニアになりたいか」と質問しています。
その意図とズレた回答だと不安になりますし、誰でも思いつきそうな個性のない回答だと採用に渋ります。
なので面接前に、質問意図の理解、企業分析、自己分析をするのは必須。これからしっかり対策していきましょう!
にこはら先輩、ありがとうございます!どんな質問でも事前の分析や準備は重要だなーと、私自身エンジニア採用面接を経験してきて実感しています。
では早速、採用側が「どんなエンジニアになりたいか」と質問をする意図から見ていきましょう!
採用担当者が「どんなエンジニアになりたいか」の質問をする6つの理由
- 短期間で離職しないか気にしている
- 入社後のキャリアを描けているか
- チームの一員として会社で上手く立ち回れるか
- エンジニア職に向いているか確かめたい
- 職業・業界・企業への理解度を測っている
- 熱意や入社の本気度を見てみたい
1/6|短期間で離職しないか気にしている
せっかく採用したのにすぐ辞められては採用方針が狂うし、社内メンバーにも悪影響があります。「どんな〇〇になりたいか」と聞くことで、入社の本気度合い、適性のある職か、キャリアプランとマッチするか...と様々な角度から採用しても問題なさそうか...と採用側は考えています。
人事としては、経営層と相談しつつ計画的に採用活動を進めているので、急な退職はかなりの痛手です...エンジニアに限らず早期離職のリスクヘッジは注意深くしているので、「どんなエンジニアになりたいか」の回答でモチベーションや入社への本気度を伝えられると、採用側も安心しますよ。
2/6|入社後のキャリアを描けているか
企業としては、入社してから3年、5年、10年...と長く働いてくれるなら嬉しい限りなんです。そのために、入社後のキャリアプランを聞きつつ、うちの会社で上手く活躍してくれそうな人材か測っています。新卒採用も正社員の転職採用も、中長期的に会社で活躍してくれる人物か評価されるのが一般的です。「どんなエンジニアになりたいか」の回答で、今後の具体性のあるプランを伝えられると評価も上がります。
自分の理想のエンジニア像を語るだけでなく、現実味のあるキャリアプランを伝えることも大切。エンジニアの基礎が身に付いたら「他メンバーのサポートやマネジメントにもチャレンジしたい」「テックリードとしてプロジェクトを導きたい」のように、キャリアを積むにつれてメンバーやクライアントへ良い影響を与えたい意志を伝えられると印象がより良くなります。
3/6|チームの一員として会社で上手く立ち回れるか
エンジニア職は個人プレイではなく、チームプレイが基本です。同じエンジニアとのコミュニケーションはもちろん、ディレクターやデザイナー、営業など他職種の人と連携して仕事をすることも沢山あります。そうなった時に採用側は「うちのチームと上手く連携してくれるか」を常に気にしています。どんなエンジニアになりたいかの質問で、その人の個性や理想像を聞いて、チームとのマッチ度合いを確かめているケースもあります。
私が現役エンジニアとして採用側に同席した時に人事から言われていたことが「一緒に働きたいか率直に意見が欲しい」です。こうやって言われている先輩エンジニアが同席することもよくあるので、応募する側としては、「先輩やメンバーとこんな風に働きたい」という理想を伝えるのも効果的ですよ。
4/6|エンジニア職に向いているか確かめたい
エンジニアの理想像を尋ねることでエンジニア職の適性を知ることができます。「働くイメージが明確か」「収入や印象だけで決めていないか」なども気にしているので、中長期的に現実性のあるエンジニア像を考えられると、適性があると判断できます。
この辺りを伝えるためにも「スキルが全てじゃない」ことはよく理解しておく必要があります。「技術力が高ければ良い」という思い込みはむしろ専門職には向いていません。コミュニケーション能力や忍耐力、柔軟性など、技術以外の理解も示しましょう。
5/6|職業・業界・企業への理解度を測っている
その職業自体のこと・その職の業界・相手の企業をよく理解していないと「どんなエンジニアになりたいか」へ的確な答えは出せません。志望度がそれほど高くない職業・業界であればフワッとした回答になってしまうので、「本気で入社したいか?」を確認できる良い質問でもあるんですね。後ほど解説しますが、自分の志望する職業・業界に対して、具体性やエピソードのある内容を織り交ぜながら答える必要があります。
自分の志望するエンジニア職への理解はもちろん、業界・企業への理解も疎かにしないようにしましょう。志望度の高い会社であれば、その業界・企業まで詳しく調べておき、他の質問にもスムーズに答えられますよ。
6/6|熱意や入社の本気度を見てみたい
これまでのまとめになりますが、キャリアプランや職業・業界・企業への理解、エンジニア職への適性、このような事を「どんなエンジニアなりたいか」と聞きつつ、本気で入社したいかを探っています。また、入社に対して熱意を持っているかも、採用する側としては意識したいポイント。
企業への理解ではビジョンやカルチャーに共感したり、キャリアプランでは自分の夢や理想像を伝えたり、エンジニアとしてキャリアを歩みたいという熱意を伝えられると、採用側の好感度もアップします!
「どんなエンジニアになりたいか」の回答例文4選(アプローチ別)
回答例ですが、上記で説明した採用側の質問意図に対してどのようなアプローチで回答するか、アプローチ別にまとめていきます。
【回答例の構成】結論 → 理由・経緯 → エピソード → まとめ
回答例によって微妙に異なりますが、起承転結を意識することが大切。特に「結論から述べる」「具体性のある話にする」は重要なポイントです。下記に動機ごとにパターン分けした回答例も「結論 → 理由・経緯 → エピソード → まとめ」の流れにしているので、参考にしつつ、自分で回答文を作ってみて答える練習をしておきましょう。
1/4|エンジニアとしての責任や顧客への理解を示す場合
【結論】
[想定職業] 医療系システムエンジニア
私はディレクターの要望や顧客の課題に対して、エンジニアならではの提案ができる人になりたいです。
【理由・経緯・エピソード】
会社の一員として働くからには、顧客やエンドユーザーの力にならないといけないと考えています。例えば、電子カルテ管理に新機能が必要で、できる限りコストを削減する必要がある場合、社内のフレームワークを活用したり、他プロジェクトから活用できそうな設計を軸に開発を進めるなど、エンジニアだからこそ力になれる提案をしていきたいです。
【まとめ】
もちろん入社後すぐにではないですが、3年後など、ある程度力がついてきた時に、そのような立ち回りができるように、技術力以外も鍛えていきたいと考えています。
専門職とは言っても、ただ技術を磨くだけではなく、ディレクターや顧客の要望を叶える必要はあります。そこへの理解や熱意を伝えられると、職業・業界への理解がより一層伝わり、エンジニアへの本気度も伝わりますよ。
2/4|3,5,10年後のキャリアプランと連携して伝える場合
【結論】
[想定職業] Webエンジニア / フロントエンドエンジニア
私は、3年目までに既存保守からモダン開発まで熟せるレベルに、5年目くらいには1チームをリードできるエンジニアに、10年以内にはクライアントへユニークなクリエイティブ提案ができる人材になりたいです。
【理由・経緯・エピソード】
自分は、顧客はもちろんエンドユーザーの心や行動に変化を起こしたいというビジョンがあります。昔からモノづくりで相手を喜ばせることが純粋に好きで、社会人になった今でもその想いがあります。フロントエンドエンジニアとして、ディレクターやデザイナーも出せないようなWeb制作のアイデアや実装方法を提案し、それを落とし込めんでいきたいと考えています。
【まとめ】
そのために、まずは基本業務を熟せるようにし、その後制作をマネジメントできるレベルに努力していき、最終的にはクライアントへの提案からクリエイティブをリードできる存在になっていきたいです。
ちょっと理想的な例をあげちゃってますが、できるなら3年後や5年後のキャリアも描いて、伝えられると良いですよ。半端な気持ちでは中長期的なプランは描けないですし、企業の事業と結び付けてキャリアを考えられると、採用側としても好感度が上がります...!
3/4|チームの一員として企業・社会への貢献意欲を示す場合
【結論】
[想定職業] ITエンジニア全般
私は、チームでより良い制作・課題解決のできるエンジニアになりたいです。
【理由・経緯・エピソード】
その理由は、エンジニアとして価値のある提供をするためには、同じエンジニアの仲間や他職種のメンバーとの協力が必要不可欠だと考えているからです。私はエンジニアの仕事体験をした事があるのですが、その時にチームプレイの大切さを目の当たりにしました。ディレクターが顧客の要望を聞き出し、リードエンジニアと共に追加すべき機能を検討、そしてエンジニアチームで形にしていく…とこのような協力体制が大切だと学びました。
【まとめ】
自分のスキルを磨くことはもちろんですが、ディレクターの要望の理解に努めたり、自分なりに提案できるようにしたり、個人よりもチームで強くなれるエンジニアになりたいです。
エンジニアであってもチームとコミュニケーションを取りながら仕事ができる人が評価を集めます。個人のスキルは当然必要ですが、チームプレイを大切にしたいという想いが伝わると「入社後も既存メンバーと上手くやってくれそう...」と採用側としても期待ができます。
4/4|企業が求める人物像への適性・熱意を伝える場合
【結論】
[想定職業] インフラエンジニア
私は、インフラで人の生活を豊かにするための施策を形にできるエンジニアになりたいです。
【理由・経緯・エピソード】
理由は御社の「テクノロジーでヒトを支える、ヒトを革新させる」という理念に共感していて、私自身、小さい時から最新技術に興味があり、モノづくりが大好きで、この特性を人のために使いたいと考えていました。インフラエンジニアとして、ネットワークやサーバーの最先端の技術を研究し、日々の業務でインプットとアウトプットを繰り返していき、最先端のシステムを支えられるエンジニアになりたいと考えています。
【まとめ】
御社でインフラエンジニアとして成長することは、自分のスキルアップにも繋がりますし、自分の技術でヒトを変えられるように、少しずつキャリアアップしていきたいです。
採用側としては、自分の企業の理念やビジョンに本気で共感してくれる人は印象に残ります。もちろん、うわべだけの共感じゃいけません。あなた自身のキャリアプランや想いに載せて伝えられそうであれば、上記のような回答も良いでしょう。
エンジニア職種毎の回答例
これまでの回答例も「想定職業」に分けて解説してきましたが、レバテックルーキー様がまとめている職種毎の回答例も載せておきます。下記の職種が紹介されています。
- システムエンジニア
- Webエンジニア
- 社内SE
- インフラエンジニア
- セールスエンジニア
「「どんなエンジニアになりたいか」にはどう答えるべき?5つの回答例を紹介|レバテックルーキー」をクリックしてチェックしてみましょう。
転職エージェントに頼ってキャリアアドバイザーに企業別の頻出質問や模擬面接をしてもらおう
それから、「どんなエンジニアになりたいか」の回答の仕方に少しでも迷いがあれば、転職エージェントを使って、プロのキャリアアドバイザーに模擬面接してもらいましょう。あと、転職エージェントを使えばエンジニアの頻出質問や企業個別の質問を教えてもらえるので、現役の僕も実感済みですが、確実に勝率が上がります。気になる人は、この見出しで詳細を確認してみてください。
「どんなエンジニアになりたいか」のNG例4選・回答ポイント
最後に、NG例と合わせて回答ポイントをまとめておきます。上記でまとめてきた回答例ですが、当然そのまま流用して使っちゃいけませんよ...!「どんなエンジニアになりたいか」は自分なりに考えて、オリジナルで考える必要があります。下記を読んでポイントを掴んでいきましょう。
1/4|どんな職業でも同様の当たり障りのない回答
私は、効率よく作業をして、無駄のない働きをできるエンジニアになりたいです。仕事をする以上は、費用や時間を無駄にしてはいけないと考えており、エンジニアなら特に大切と思っています。日々の業務の中で効率の良いやり方を模索して、会社に貢献していきたいと考えています。
いくら "エンジニアなら特に" といった言い方をしたとしても、これではどんな職業でも同じ話です。採用側としては「それはエンジニアじゃなくても良いのでは?」と疑問に感じてしまうので、自分の志望する職業じゃないといけない理由を考え直してみましょう。
2/4|結論が分かりづらい、構成がぐちゃぐちゃ
私は、ITエンジニアの学習をしている時に、システム構築をする素晴らしさを実感していました。最新のフレームワークを使って効率よく仕上げることで削減をしたり、独自の実装を施すことでディレクターの提案の力になったり、エンジニアならではの価値提供をしたいと考えています。独学中もその意識はしていたので、入社後も積極的に技術を学んで、業務に励んでいきたいと考えています。
読んでみるとこの "分かりづらさ" が際立っていますが、対策せずに喋ってしまうと、上記のように「何が言いたいか分からない」状態になっていることもしばしば...。「結論、理由・経緯・エピソード、まとめ」のように構成を考えて、一度文章に起こして、話す練習をすると良いですよ。
3/4|話に具体性に欠ける
私は、チームでより良い制作・課題解決のできるエンジニアになりたいです。
その理由は、エンジニアとして価値のある提供をするためには、同じエンジニアの仲間や他職種のメンバーとの協力が必要不可欠だと考えているからです。自分のスキルを磨くことはもちろんですが、ディレクターの要望の理解に努めたり、自分なりに提案できるようにしたり、個人よりもチームで強くなれるエンジニアになりたいです。
このNG例ですが、良い例の「チームの一員として企業・社会への貢献意欲を示す場合」から具体的なエピソードを丸っと省いたものになります。自分の考えを伝えることは大切ですが、何故そのようなエンジニアになりたいか、実際の仕事と絡めたり体験談を交えないと信憑性に欠けてしまうのでご注意を。
4/4|テンプレっぽい or 完璧すぎる回答
自分で考えていない文章を、コピって話すと「なんだか完璧すぎる...」と違和感を感じます。既にお伝えした良い例を "参考に" はして欲しいですが、コピらないように。自分が答えた後、採用担当者はその内容を拾って質問したりもするので、自分で考えて答えるようにしましょう。
転職エージェントに頼ってキャリアアドバイザーに模擬面接をしてもらおう
転職エージェントとは、プロのキャリアアドバイザーが、応募企業毎の質問対策や模擬面接などの採用面接サポートから、ES対策、企業分析・自己分析、求人の紹介など、あなたの転職を徹底サポートしてくれます。
現役エンジニアの私も、これまでの転職で何度も活用してきています。転職って1人でやると情弱になってしまうし、企業分析や面接対策で壁にぶち当たります。転職エージェントに素直に甘えた方が勝率が上がりますよ。
また、「どんなエンジニアになりたいか」以外の頻出質問も企業別に教えてくれるので、得が多いです。
また、企業別の頻出質問はもちろん、どんな面接でも共通して聞かれる下記のような質問の対策もしてくれました。
- なぜエンジニアになりたいか
- 現在興味のある技術はありますか?
- エンジニアになるためにどのような勉強をしてきましたか?
- アプリやサービスなどをオリジナルで開発した経験はありますか?
- 最近勉強していることは何ですか?
- 将来のキャリアプランはどのようにお考えですか?
- これまでの経験を弊社でどのように活用できますか?
- 会社を選ぶ軸を教えてください
下記のどの状況の人でもメリットがあるので、まだ使っていない人は無料相談から進めておきましょう。
シチュエーション | メリット |
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既に採用面接を控えている人 | 模擬面接や面接企業の分析をしてくれる |
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